日本の避暑地と呼ばれるようなところにはたいがい国などが経営している公共の宿泊施設がある。公共の宿と俗に言われる簡保だとか国民宿舎だとか、厚生……とは違う、青少年の教育のための施設で、かなり安い。長野県の中には県内各地にそういった施設が点在していて使わない手はない。施設ごとに条件や値段、規制が異なる。たとえば区の所有の 施設なら区民以外利用できないといったような制限だ。僕が利用している川崎市八ケ岳少年自然の家は名前のとおり川崎市の施設である。東京都民の僕も関係なく受け入れてくれるし、値段も変わらない。市民以外の人間の不利な点といえば、予約が利用日の2ヶ月前からとなるとこだ。申し込みも空室確認もすべてネットからでき、一番気に入っている。そして、食事がおいしい。少年の家系では安いほうではないが、親子二人で7500円。一泊二日。食事は4食。すべて込みである。
八ケ岳の南端の編笠山に息子と二人で挑戦してきた。少年の家はこの麓にある。ハイキングの上級版程度の気持ちで立ち向かったのだが、甘かった。3000メートルにとどかんばかりのその山は名前に似つかわしくない険しい表情を最後までくずすことはなかった。
決してなめていたわけではなく、素人の僕なりに予想される限りの装備で登った。編笠頂上からの望む八ケ岳のパノラマをカメラにおさめたところで、どのとんがりがどんな名前をつけられているかさえ子供に説明できない僕には語る資格なんてないのだが、美しいと思ったし、息子をおだてて登りきってよかったと心から感じた。という、頂上での純粋な気持ちを振り切るくらいくだりの長さが身にしみた。上りの激しさを帳消しにした景色も、ひざの異常を抑えきれないくだりの苦しみのバリエーションに「二度と…」と言う禁句を息子の口から吐かせてしまった。
とはいうものの、今日の筋肉痛に息子の成長を期待しないわけではない。おっちゃんの僕ですら成長したような錯覚すらある。
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