20080605

山に登ろうと思う

20080531-_DSC7151高校には登山部があった。80リットルははるかに超えるのではないかと思われるリュックを背負って、校舎の階段という階段を登るのだ。リュックとは呼ばないかもしれない。当時はやっていた黒ブチメガネの彼は薄汚れた水色のリュックをさげてひたすら歩く。短く太い足には脛毛がうっそうとして、山の土がこびりついてるかのようだった。彼はおとなしいグループではあったが相性があうような気がして、チョコチョコとシニカルな会話をしていた記憶がある。今では名前も思い出せない。

山の話はしたことがない。彼の心の中心であったであろう山に、吹奏楽で急がし過ぎた僕は興味を抱くことはなかった。15年以上経って、仕事で山に登る羽目になって、山を愛する人たちとの多少の出会いが再度訪れたのだが、仕事は続かなかった。山でのカメラマン 仕事は苦しかったが、続かなかった理由ではない。

あの時、山について彼が饒舌に語ってくれたのなら、もうひとつの人生もあったのだろう。山に行かなくなって山のことを聞ける人が近くにいなくなってしまったことを寂しく思う。彼はどうして暮らしているだろうか。

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