20080603

若き写真家のブログの閉鎖から

内野雅文氏を慕う若き写真家が自らのブログに毎週、Uchino Masafumi Photoworks1996-2006写真図録より写真を複写して追悼の言葉を載せていた。彼のブログは突然自身の手で閉鎖された。予想もされたことで はあったが、彼を知る人から聞いたところによると内野の写真をブログに載せるのは売名行為ではないかと批判されたらしい。詳細はわからない。コメントに投 稿があったのかもしれない。
内 野は天国だか知らないがあの世で何といっているであろうか。たかだかこんなことで、長いこと続けてこれたブログを閉鎖せざる終えない状況に追い込まれた若 い心の写真家を思うと、痛い。そんなにすばらしく機知に満ち溢れたものではなかったが、ほぼ同世代の抱えるささやかで、どうしようもない直接的な問題をつ づった真っ直ぐな言葉だったと思う。こんなに著作権やら、個人情報やら肖像権なんて騒ぐような社会になっていったい何か新しい豊かなものは生まれてきたで あろうか。そういえば内野の写真はそのことに最も直球で挑んでいったものであった。ハリーポッターでも引用すればブログのアクセス数が上がって、有名人に なれるんですか。写真はたくさん見てもらえるのですか。内野のWEBサイトはお別れ会のころをピークに一日平均50人弱の閲覧で推移している。おろそ かな更新のせいでもあるがまともな写真が人々の目に触れる可能性は著しく低下しているし、社会が写真の内包していた仕組みを必要としなくなってきた。一枚 の写真から放たれる僕たちが持っていた「記憶の島」はシャープネスとインクジェットの波に浸食され僅かばかりの陸地が残っているに過ぎない。

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