20080823

足らない写真


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Originally uploaded by hiroomis2008
生活がまた始まり職場のパソコンとの睨み合いが続く。実家からタバコをカートンでいただいてきたにもかかわらず、ポケットに入れ忘れる。駅の売店でライターと一緒にキャスターマイルドを買ったのだが雑誌の山に置き忘れる。翌日朝少し早めに家を出て恐る恐るおばちゃんに「昨日…」と言いかけたとたん棚から紙に包んだタバコとライターをニコニコで渡される。自前の弁当はいつものように箸が入っておらず食堂で悪びれながらカウンターのおばちゃんと目をあわさないように箸をゲット。食事に誘われない限り昼休みに本を読むことにしているのだが、思ったより漢字の多い文章に集中力を切らしているとさっきの弁当が股にぎっしりこびりついている。100粒は超えていた。
先週末に富士山に登ったこと書き留めておかなくてはならない。けれど言葉がなかなか出てこない。7歳のチビ助と二人、メタボと意気地なしのコンビにはえらくこたえた。2年越しのリベンジ。5歳の彼は8合目の宿で晩飯でたいらげたカレーを僕の胸のなかですべてリバースし、不安定な呼吸のまま夜明けを迎えた。今回、それでも下りなければいけない怖さを強くインプットしている体は互いに臆病で、弱った子供にさへツレない宿への怒りや久しぶりにこんなに長い時間手を繋いだ感覚やらで、整理がついていない。頂上まで行ったことは確か。晩飯のカレーを残して僕にくれた。
山頂で小岩井大輔写真展「Mt.FUJI3776」を見た。8年かけて撮りためた富士の写真の展示の前に山小屋で働く本人がいて、チビをだしに使い話しかけるタイミングを待った。多く語らない本人とは違う饒舌な写真だった。
山に行くときはブローニーのネガカラーに6月の編笠山から決めていた。それでもやっぱり、ここでも何にカメラを向けたらいいか解らないままチビの貌ばかりを見てシャッターを押していた。
ギャラリー・ガレリアQの牟田義人さんに写真展のDMをハイペースで頼まれ、このひと月は人の写真に囲まれて息をしている。Qのメンバーの星玄人氏のDMをはじめて作ることになった。前回の展示でも当初DMを依頼されていた。だけどどこか怖かった。その時引き受けたものの僕の引け目を野生で感じ取った星さんから時間都合での断りの電話がやんわり入って安堵した。強い被写体に向っていく写真家だ。写真集でしか写真を知らなかったが、新宿に行くたびに出会ってはいた。話していても宇宙から来た写真家のように感じていた。彼の写真の中には弱者(強者?)として社会から振り分けられたアウトサイダーが多く登場する。魅力を感じてしまった被写体である街の夜に飛び込んでいく。今回、DMに載せる写真の候補をスキャン・レタッチして感じるのは、僕の妄想の中の彼の写真よりはるかに被写体との距離が遠いということだ。ラフプリントのキャビネサイズで人物が小さいということだけでは無論ない。彼との打ち合わせの中でも感じた写真家の変化していくさまを、DMでは伝えられればいいと考える。タイトルの変更を提案し、僕が強くて不安定なこの写真達に感じた言葉をDMにのっけて校正を送った。足らない写真を補いに、すでに現場に向ってしまった星氏からの回答が明日、携帯に来ることになっている。少なからずの緊張がある。

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